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コンビニ業界に将来性はあるのか。中国無人コンビニから見る次世代店舗の行方


 昨今コンビニ業界で叫ばれているコンビニ店舗の近代化・次世代化について、各社が様々な取り組みを行っている。その最たる例の一つに、『無人コンビニ』というものが挙げられる。読んで字の如く、コンビニ店舗内に従業員が見受けられず、消費者が自ら商品選択、決済まで一貫して行う様式のコンビニである。
 最近ではファミリーマートが無人コンビニを2024年までに1,000店舗設立することを目指すというニュースが報道された。今回は、NEOコンビニと題して、コンビニ業界の将来性について見ていきたい。

目次

  1. 既存ビジネスモデルの限界
  2. 新規顧客層の獲得
  3. 中国無人コンビニ

既存ビジネスモデルの限界

 日本のコンビニ業界はこれまでに述べた通り、市場は飽和状態、国内人口減少に伴い、「店舗を出店すれば収益が増加する」という単一的なモデルが成り立たなくなっている。更に、コンビニ以外の小売店であるスーパーやドラッグストア等も利便性が向上し、コンビニがターゲットとする顧客を奪い合う状況である。

 そのため、いかにして他社から顧客を奪い取り、シェアを勝ち取るかという点と、どのように業界自体の市場規模を拡大していくかの2点が各社に求められている。現状においては、各社が他社の取り組みを模倣しながら、著しく他社と比較して利便性が見劣りしない様に配慮し、商品力強化を推し進めていると考えられる。

 例えば、ローソンの様に店舗自体のブランド(=看板を変える)を分けることによるターゲット層の差別化がわかりやすい例と言えるのではないだろうか。ナチュラルローソンは健康志向者向けに、商品の単価は高いものの、栄養価も高い商品を揃えることで、明らかに一般消費者が持つ「コンビニの商品は身体に悪い」を払拭し、新規のターゲットを取り込んでいると言える。

 次に、市場規模の拡大(=新規顧客の獲得)に各社がどのようにアプローチしているのだろうか。ファミリーマートでは、コロナ禍において、マスク等の製品をブランドと共同で企画し、販売している。これまでのライフスタイルで「コンビニで衣服を買う」という思考が殆ど無かった中、「コンビニで衣服を買う」という流行を定着させるべく、取り組みを推進している。

新規顧客層の開拓

 上記で触れた要素は、取り組みの一例でしか無いが、日夜現場で働く社員達は様々な取り組みを検討しながら、収益の拡大に向けて取り組んでいる。そこで、筆者が個人的に利用してみたいと考えられるコンビニについていくつか検討してみた。参考までに下記に記しておきたい。

 例えば、一般大衆向けに商品・サービスを提供するコンビニが主流の中、あえて高所得者層向けの店舗を設置することはどうだろうか。簡単に言えば、現在コンビニで販売されている1本2千円程度のワインをグレードアップし、1本5万円のワインを取り揃える様なイメージである。勿論、ワインのグレードに合わせて、取り揃える肴もグレードアップする。
 取り扱う商品を顧客の『好み』にあわせてアップグレードすることによって高所得者層の心をつかめそうではあるが、店舗経営の観点で見たとき、採算はとれるのだろか。特に高所得者層が住んでいる地域となると、店舗の土地・建物などの家賃にかかる固定費が高くついてしまうのではないだろうか。例えば、銀座に設置されているコンビニは採算が取れるのだろうか。これは別途、コラムとして詳細に触れたいと思う。

中国の無人コンビニ

 過去に一世を風靡した無人コンビニと言えば、中国での実証実験が思い浮かぶ。Amazon Goに先駆けて中国の無人コンビニ「Bingo Box」が2016年8月に、中国広東省にオープンした。

 同店舗は、一般的なコンビニの10分の1以下のサイズという小型店舗であり、商品を顧客がレジまで持っていき、レジスキャナーに商品をのせると自動スキャンされ、モニターに表示されたQRコードをWeChatPay等で支払うことで、ドアが解錠されるコンビニである。

 無人コンビニの革新的な点は「人件費」をゼロとすることで、日本の自動販売機同様に設備等の固定費と、仕入原価を除いた分を全額利益として見込むことが可能となる点である。一方で、顧客体験におけるデメリットも伴っているのが無人コンビニが現時点で流行らない理由と言える。

 まず、ノンストップで入店する事はほぼ不可能である。防犯上の観点からも、店内に先客が居た場合は人数制限の都合上、店舗の外で待たないといけない。更に、コンビニという事業にもかかわらず品揃えの少なさ、商品の魅力の少なさが挙げられる。消費者にとっては、無人コンビニは、顧客体験を損なう取り組みである、といえるだろう。

 一方で台頭を見せる、AI技術を活用した省人型のコンビニ。カメラ、センサーを店舗に導入し、自動で決済するコンビニが無人コンビニのシェアを奪っている。冒頭で述べたファミリーマートの無人コンビニもこれに該当するものである。

それでは、みなさんご存知の「Amazon Go」はどのようなコンセプトで運営されているのだろうか?(次の記事へ続く)

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