コンビニエンスストア

コンビニエンスストア業界ビジネス⑨~コンビニ廃棄の食品ロス削減待ったなし~


 SDGsのテーマとなっている持続可能な世界を考えるうえで、限りある食材や食品を無駄なく使っていくことは、世界共通の課題になっている。食品ロスはSDGs目標12「つくる責任とつかう責任」として取り上げられており、2030年までに、世界全体の一人当たりの食料の廃棄半減と、生産・サプライチェーンにおける食品の損失の減少を目指している。今回は、食品ロスに密接に関係しているコンビニ業界の食品ロスについて見ていきたい。

目次

  1. 食品ロスの定義
  2. CVSと食品ロス
  3. 1/3問題(業界慣習)
  4. 各社の対応
上図:日本国内の食品ロス事業別発生原因

 食品ロスの定義とは、「食べ残しや売れ残り、調理段階で切り落とした部分などの本来食べることができたはずの食品が廃棄されること」だ。この食品ロスに不可食部も合わせて食品廃棄物と総称される。2019年の農林水産省の発表によれば、日本の食品ロスはアジアワースト1位、世界第6位と不名誉な結果であった。

世界の食品廃棄量:13億トン/年

日本の食品ロス量:600万トン/年 (国民1人あたりお茶碗1杯/日)

コンビニ業界の食品ロス量:20~30万トン/年(日本全体の約4%、1店舗あたり10~15キロ/日)

CVSの立地や店舗の規模にもよって異なるが、売価ベースで1店舗あたり1日約2~5万円の食品ロスが発生している。例えばローソンの場合、国内店舗数15,000店舗×3.5万円=4.5億円/日の損失を垂れ流している計算になる。勿論、この損失を加味したうえで店舗経営しているとはいえ、CVS店舗の収益性に大きな影響を与え続けており、年間換算では日本全体に大きな損失であることは明らかだ。

主に食品ロスになるのは、パン・おにぎり・弁当・惣菜が多い。これらの商品の販売(店頭に並べられる)期限は20~24時間程度。特に昨今の健康ブームや鮮度をウリとする商品が増えており、保存料や防腐剤、着色料の使用が少なくなってきていることも販売期限を縮めている原因の一つとなっている。また、店舗で調理される揚げ物系の商品やおでんの販売期間はたった約4時間しかなく、これらの商品だけでも1日あたり2万円程度のロスが発生する。

その要因のひとつに『賞味期限』が深く関係している。日本では、「まだ食べられるが賞味期限が近いために破棄せざるを得ない」事態を生み出す業界慣習があり、近年大きな問題意識が持たれている。

<定義>

賞味期限・・・袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」のこと。スナック菓子、カップめん、チーズ、ペットボトル飲料など、消費期限に比べ、傷みにくい食品に表示される。

消費期限・・・袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、「安全に食べられる期限」のこと。お弁当、サンドイッチ、ケーキなど、傷みやすい食品に表示されています

食品業界における一般的な業界慣習に「3分の1ルール」と呼ばれるものがある。これは、メーカーに課せられる「納品期限」を制限しており、製造日から数えて賞味期間全体の最初の3分の1を過ぎると、小売店は商品の納入を拒否できるルールのことである。これはあくまでも業界慣習であり法律ではない為、必ずしも従う必要はないのだが、このルールがあまりにも浸透しており、多くの小売店は納入を拒否している。

たとえば賞味期間の短いおにぎりに関して言えば、CVSでは消費期限(概ね日持ちが5日以内の商品に表示される)に余裕をもった「販売期限」が設定され、販売期限の経過した商品は、食品ロスとして廃棄処理されなければいけない。これも、食品業界の商慣習として定着している。

大手チェーンの弁当・おにぎり・パンなどは、販売期限情報をバーコードに含んでおり、販売期限を超過した商品は、レジを通過できない仕組みになっている(会計時に店員さんが突然商品棚に走り出すのもこれが理由だ)。しかし、日本政府の「食品ロス削減推進法」や「食品リサイクル法」の制定等をきっかけに食品廃棄問題への昨今の風潮を反映して商品ロスを減らすことを重視する経営者が増えており、時間帯によっては弁当類が全品品切れとなるような店舗も増えている。

 そこでセブンは、おにぎりの消費期限を約2倍に延ばす方針を明らかにした。これにより、店頭で販売できる時間を、現在の約18時間から1日半~2日程度に延び、おにぎりの廃棄量は5割減少することが期待される。

セブンのその他の取り組みはこちらから。

 ローソンでは2020年から揚げ物など店内調理品の値引き販売を推進し、廃棄ロスが2割削減しているという。

ローソンの取り組みに関する、 詳細はこちらから。

 ファミマではファミペイの回数券機能を利用してボトルキープサービスを開始したり、2021年7月から加盟店に対して消費期限が迫った商品を値引き販売する「エコ割」の導入を推奨する等の廃棄ロス削減に取り組んでいる。

ファミマの取り組みに関する、詳細はこちらから。

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